確定申告と年末調整
2021年(令和3年)1月1日現在施行法令に基づく
一、はじめに
確定申告と年末調整との関係や違いについて簡単にまとめてみます。当たり前のことばかりですが、勘違いしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。改めて確認してみましょう。
二、結論
確定申告は納税者本人が行うもの。
年末調整は給与等の支払者(会社など)が対象の給与等に関して、納税者本人の代わりに所得税の精算を行うもの。
三、確定申告(所得税法120条)
確定申告とは、所得及び所得税等を確定させるための申告であり、基本は、自分で所得やそれに対する所得税等を計算して申告します。これに基づいて納税・還付となります。毎年、本年1年間の所得について翌年2月16日から3月15日までの申告期間内に税務署に対して行います(2月16日以前になされた申告も申告期間内になされたものとして扱われます。所得税基本通達120-2)。
所得・所得税を計算した結果、源泉徴収などによって所得税を納め過ぎていた場合や特定支出控除、医療費控除を受ける場合などには、税務署に対して還付申告をすることができ、本年1年間の所得に関して翌年1月1日から5年間行うことができます(所得税法120条8項、国税通則法74条1項)。
四、年末調整(所得税法190条)
所得のある人は、原則的には確定申告を行うのですが、おそらく給与所得者(サラリーマン)などの多くは確定申告を行っていないでしょう。それは、会社等が年末調整を行うからです。
年末調整とは、源泉徴収した所得税の合計額と1年間の給与総支給額に関して納付すべき所得税額とを比較して過不足の精算を行うことをいいます。つまり、年末調整によって会社(給与の支払者)が給与所得者に代わって所得税の過不足を精算し適切な納税が完了するため、多くの場合、確定申告をする義務がなくなるのです(所得税法121条)。
このような年末調整は、扶養控除等申告書の提出があった会社で行われるものです。同申告書は、1か所のみに提出でき、同時に複数箇所に提出することはできません。
他方、年末調整されなかった給与や他の所得がある場合には、確定申告の義務が生じることがあります。また、年末調整の際に考慮されなかった各種控除の適用を受け、還付を受ける場合などには確定申告をする必要があります。
確定申告の義務がある場合についてはこちらもご参照ください。→確定申告が必要な人、不要な人
五、確定申告と年末調整との異同
どちらも所得税の精算といった側面があるが、行う主体が納税者個人(本人)なのか、給与の支払者(会社等)なのかといった違いがある。
また、確定申告は、年間の全ての所得について行うが、年末調整は、扶養控除等申告書の提出に係る給与等について行うという違いもある。